靴底をまじまじと観察したことのある人なら分かると思いますが、
シューズによって、カカトから爪先までほぼ真っすぐのものや、
土踏まず部分の辺りから少し内側にカーブしたもの、
まるでバナナのようにぐにっと内側にカーブしたもの、などなど、
それぞれ違うことに気づくと思います。
足型のことを専門的には「ラスト」と呼んでいるのですが、足裏から見てカカトから
爪先まで真っすぐなものは「ストレート・ラスト」。長靴なんかがそれです。
少し内側(親指側)にカーブしたものが、「セミカーブ・ラスト」。
ジョギング用のシューズなどがそれに当たります。
そして、グニャ~っとカーブしているものが「カーブ・ラスト」。
レーシング用シューズがこれです。
人間が歩く時、足裏の荷重移動はカカトから土踏まずの周りを回って爪先へと
抜けるようなラインをたどります。
カーブ・ラストの形状は、この荷重移動のラインに最も近いものです。
足の動きに合っているのですね。ですから、走る時もストレスを感じません。
レーシング用シューズがカーブ・ラストであるのも頷けますよね。
動きを邪魔しないなら、ランニングシューズは全部カーブ・ラストで
作ればいいじゃないか、なんて声が聞こえてきそうですが、問題もあります。
カーブ・ラストは動きやすい反面、脚の外側にある強い筋肉ばかり使うようになるので、
長距離・長時間のランで疲労した場合においてシューズがサポートしてくれないのです。
その点、セミカーブ・ラストであれば疲労時に外側へ倒れようとする脚を
支えるように筋肉が働くので、長距離・長時間のランでも疲れにくいシューズと
言えます。
そのサポートをより強くするのが「ストレート・ラスト」なのです。
最近はストレート・ラストを採用するランニングシューズを見かけません。。。残念。
セミカーブ・ラストを採用しているトレーニングシューズは、ビギナーや脚力の
強くないランナーにとってトレーニング効果があるだけではなく、
マラソン大会などでもシューズがサポートしてくれるので、疲れずに走ることが
できますよ。
一方、脚力があるランナーがアップ、ジョグ時にレース用シューズを履いて
行っているのを見かけますが、これでは内転筋群にも腹筋にも刺激が入らず、
脚の外側にある強い筋肉ばかり使うので、思うような効果が望めません。
アップ、ジョグ時はトレーニングシューズを使うべきなんです。
このように、靴底のカタチにも意味があったのですね~。
なかなか面白いでしょ?