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機能付きインソールはお金を払う価値があるのか

スポーツ用インソールの購入をためらう方の殆どは「お金を払う価値があるのか」という疑問を持っています。

 

ここでお断りしておきますが、500円や1000円くらいのインソールには殆ど「機能」はありません。

それを買うくらいならシューズ付属のもので充分です。スポーツ用として確かな機能があるのは、4~5,000円前後から上の価格のものでしょう。

 

さて、モノを購入するにあたって支払える額は、その人の要求や価値観によりますよね。

 

例えば、料理用に包丁を購入するとします。貴方は幾らくらいなら出せますか?

5000円? 2万円? そんなに出せない!切れればいいから、1000円?

払える金額は、それに何を求めるのかで変わります。切れ味、作業効率、材質や見た目など、人それぞれです。

 

 

話を戻して、しっかりした造りの「機能付きインソール」は身体にどのような効果をもたらすのでしょうか。

 

スポーツ用インソールの効果としてまず挙げられるのは「動きをガイド&サポートする」ことです。

例えば、歩くフォームを運動効率の良い正しい方向にガイドしサポートするというものです。

 

使う局面、スポーツの種目によってそれぞれ素材、形状などに工夫がされています。

 

貴方は自分の「動き」に自信を持っているでしょうか。例えば、歩くことに自信を持っているでしょうか。

 

「自分は問題ない。どれだけ歩いても疲れないし、膝も腰も痛くない。姿勢も崩れない」という人はどれくらいいるのでしょう。そんな人には「歩く」ことに関しては機能付きインソールの必要性はないかもしれません。ですがそうでなければ機能付きのインソールを使う意味はあります。

 

かく言うワタクシも疲れてくれば姿勢や身体のバランスに自信が持てなくなってきますし、シューズには機能付きインソールを入れて使っています。仕事柄インソールの効用には疑う余地がないので、シューズに掛ける費用にはインソール代金込みと考えているくらいです。

 

「シューズにお金を払い、インソールにも5000円、1万円使うなんてもったいない」そう思う方も少なくないでしょう。でもスポーツ用インソールによって運動時のフォームが良くなれば運動効率が向上するのはもちろんケガ・故障の予防効果があります。

逆に言えば「ケガ・故障は非効率的なフォームを続けた結果」もたらされるものであるということです。

 

 フォームやバランスが良くなれば、ケガや故障で病院に行く手間や湿布薬代等も掛からなくなってきます。

時間を、治療ではなくトレーニングなどに使うことができる。アスリートの方ならこれがどれだけ価値がある事か分かると思います。

 

仮にスポーツインソールの耐用年数が1年として、その価格が5000円ならひと月500円弱。それなら、健康ドリンク3本分くらいでしょうか。その程度でパフォーマンスが向上しケガ・故障を予防できるなら決して高い買い物ではないと、ワタクシは思います。「足から摂取するサプリ」と思えば、お金を出す価値はあると思いますよ。

 

ただし、高価すぎるのも問題です。例えば「一流のアスリート」が「フルオーダー」で一からカスタムインソールを作製したとして、高くて50,000円程度だと思います。←これはとてもとても特殊な事例ですよ

ですが、以前「普段使い」のカスタムインソールに10万払ったことがある(!)というお客様が当店にいらっしゃいました。

・・・いったい、どんな高機能なのでしょう?うーん、普段使い用にそこまでお金を払う必要はないかと・・・

 

 

ここで、「スポーツ用として」おススメできないインソールの機能をご紹介。

 

・クッションが効いたフカフカのインソール

 

スポーツの局面では足部の安定が大切です。足が安定して動けるためには、足元はしっかりした素材がよいのです。「クッションが効いて快適」をうたい文句にしているインソールがありますがお勧めしません。

柔らかくてフカフカしている素材は、足に触れた直後は気持ちいいと感じるのですが、そのまま長時間動くのは脳にとって苦痛です。

クッションの効いたフカフカのベッドの上は気持ち良いものですが、その上で立って1時間歩きまわれと言われたらどうでしょう?

 

足元が安定しないと、脳は身体を安定させるために力を使ってしまい、他の動きをコントロールすることが困難になります。足裏が表面に触れた瞬間と、安定するまでにかかった時間に差があり過ぎると脳は混乱し緊張してしまうのです。

 

柔らかいフカフカした素材のインソールをおススメできない理由です。

 

 

・土踏まずを持ち上げて固定するインソール

 

もうひとつ、スポーツ用として避けた方が良いインソールの機能として、土踏まずを上げた状態で「固定する」ものがあります。え?それって良いことなんじゃないの?

土踏まずを支えることそのものは悪いことではないのですが、足は運動の局面において、地面からの衝撃を吸収するために一時的に土踏まずが潰れるようになっています。ショックを吸収し荷重が抜けた後は元に戻るのですが、土踏まず部分が潰れないよう固定されていると、衝撃を吸収できず荷重の移動もスムーズに行えません。

姿勢を変えずその場で踏ん張って力を出す、など荷重の移動が行われない局面であればよいのですが、「歩く」もしくはそれ以上のスピードで移動する種目であれば、土踏まず部分は固定されて良いものではありません。

 

「健康サンダル」などは土踏まず部分が硬いですが、それは姿勢の保持や足裏のマッサージ効果を狙ったもので、スポーツ用ではありませんから。スポーツ後のリカバリー用としては良いですけどね。

 

 

しっかりした設計思想の スポーツインソールが持つ効用は疑いのないものです。貴方がフォーム(姿勢)を良くしたいと思っているなら、ケガや故障にお悩みなら、それにお金を出す価値はあると思います。

 

しかしインソールが身体にもたらす効果は毒にも薬にもなります。購入時には売り場で機能を確かめましょう。

答えられない売り場・スタッフからは買わない方が賢明です。それこそ「お金の無駄」になるかもしれません。